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法テラスってどうなの?

 法テラスについては、ホームページで弁護士をお探しの方であれば、多くの方が概要をご存知ではないかと思います。

 

 法テラスについて簡単にご説明いたしますと、主に民事法律扶助という国の援助制度を利用して司法サービスを提供する半公共の団体のようなもので、全国各地に直営の法律事務所を持っている独立行政法人類似の法人です。

 

 民事法律扶助制度は、これも概要だけご説明いたしますと、一定の収入要件等を満たす場合に、1回30分・3回までの無料法律相談の提供と、仮に弁護士を雇うことになった場合にその弁護士費用を貸し付けてもらえるという制度です。

 

 法テラス=民事法律扶助、という意味で語られることも少なくありませんが、法テラスという団体が、民事法律扶助などの制度を使ってサービスを提供している、というもので、一応、「法テラスは団体」「民事法律扶助は制度」という区別ができます。

 

 民事法律扶助制度は、「扶助」という語感から、弁護士費用を援助してもらえる制度と誤解されがちですが、あくまで立て替えにとどめ、弁護士費用を貸し付ける制度となっています。

 

 全国各地にある法テラスの直営事務所では、直接法テラスに雇われている常勤弁護士を中心に、法律相談や訴訟代理その他の業務を行っています。

 

 ただし、民事法律扶助のサービスは、必ずしも法テラスの直営事務所だけでなく、民事法律扶助の契約をしている弁護士であれば、各弁護士が所属する民間の法律事務所で提供することができます。サービスの内容や料金等の契約の条件は同一です。

 

 もちろん、当高幡門前法律事務所事務所においても民事法律扶助を利用してのサービスを提供させていただいております。

 

 このように、市民の方々が民事法律扶助の制度を利用するためには、

 

1 各地にある法テラスが直営する法テラス事務所で民事法律扶助のサービスを受ける
2 法テラスと契約している民間の法律事務所において民事法律扶助のサービスを受ける

 

という、2つのルートがあります。先に書きました通り、料金等は全く同一です。

 

 民事法律扶助の制度は、貸し付けにとどまるとはいえ、その費用は通常の弁護士事務所の基準よりはおおむね安価に設定されており、経済的な負担から司法制度を十分に利用できない方々のセーフティーネットとして、その存在意義は高く評価されるべきものだと思います。

 

※追記(2016年1月時点)
 法テラスの報酬基準はおおむね安価、と記載しましたが、必ずしもそうはならなず、むしろ高額になってしまうケースがあることに最近気がつきましたので、追記いたします。
 今でもまだ一定数のご相談のある事件類型ですが、過払金の返還請求事件の場合、なぜかわかりませんが、訴訟を提起すると返還された金額(経済的利益)の20%+消費税が成功報酬として徴収されます。
 多くの弁護士が使用している弁護士会の(旧)報酬基準によったとしても、経済的利益が300万円まではその16%、それを越え3000万円までは10%が報酬基準ですので、過払いの事件に関しては、成功報酬について、なぜか法テラスの方がむしろ高額に設定されています。
 そのことは、事前には重要事項説明書等には記載されず、民事法律扶助の報酬算定表を見ても不明瞭で、それなりに事件処理が進み始めて決定書というものが法テラスからくる段階で初めて依頼者の方は知ることになるため、その頃にはもう「え、こんなに成功報酬かかるんですか?ちょっと話が違うのでは?」と思ったとしても、事実上、契約しないということは極めて困難だと思われますので、あまり適切な報酬基準ではないし、契約前の告知方法としても適切とは思えないところがあります。
 他の類型でも起こり得ることなのかもしれませんので、法テラスに行かれる方は、念のため、ご留意いただいた方がよいと思います。

 

 

法テラスの無料法律相談について

 

 上記のように、民事法律扶助制度の利用には2つのルートがあるとはいえ、一般の方々に知られているのは、法テラスが直接管理運営している各地方にある法テラス事務所でのご利用だと思います。

 

 法テラスの直営の法律事務所は、、その知名度や安心感から市民の方々に少しずつ利用しやすいものとなっており、今でも重要な役割を負っており、これからも維持されるべきものだと考えています。

 

 しかし、実際に法テラスの常勤弁護士として所属していた者からすると、法テラス直営の事務所には、長所ばかりではなく、いくつか弱点があるとも感じております。
 あくまで私見であることをあらかじめお断りいたしておきますが、ご関心のある方も多いと思いますので、ご参考までにその点について触れたいと思います。

 

 私が感じた法テラスの弱点の一つとして、無料法律相談があります。

 

 まず、法テラスの直営事務所での相談では、利用者は弁護士を指名することはできません。

 

 あたり前のように思われる方もいるかと思いますが、同じ民事法律扶助制度を利用して無料法律相談を受ける場合であっても、民間の法律事務所で相談をすれば弁護士の指名は可能ですので、この点は、法テラス直営の事務所で無料法律相談を受ける場合の弱点だと思います。
 当高幡門前法律事務所においても、お申し出いただいて法テラスと同一の基準を満たしている方には、無料でのご相談を承っております。

 

 また、弁護士の側からしますと、法テラスにおける無料相談では、弁護士は、ご相談をお受けするまで、基本的に一切ご相談内容を知らされません。おおざっぱな事件名すら相談が始まるまで分かりません。
 したがって、弁護士は事前準備が全くできないという問題があります(法テラス東京での運用を前提としていますが、私の知る範囲では全国的にも同じ運用であると聞いております。平成27年12月時点。)。

 

 さらに、法テラス相談は30分できっちり終了となります。

 

 弁護士は、そのような中で、事前準備もなしに一からご相談内容をおうかがいし、さらに必要な法的判断をしてご質問にお答えしなくてはなりません。

 

 したがって、私も、法テラスの常勤弁護士でしたので毎週のように何人もの方の無料法律相談を法テラス事務所においてお受けしておりましたが、どうしても、本来事前準備が必要なご相談内容については、一般論だけに終始してしまうという問題があるように感じておりました。

 

 つまり、

 

1 相談者はどのような弁護士に相談するのか知らずに相談しなくてはならない。
2 弁護士もどのような方が相談にくるのかはもちろん、ご相談に対する準備は一切できずにぶっつけ本番しか許されていない。

 

という問題がありました。

 

 ですので、例えば「私のようなケースで離婚が認められますか?」といったご相談には時間と事前準備が必要な場合が少なくありませんので、若干、不向きな場合がございます。

 

 率直に申し上げれば、、民事法律扶助のサービスの内容は同一ですので、相談に行く弁護士が信用できる場合には、特に法テラスの直営事務所で相談を受けるメリットはないように思います。
 さすがに、弁護士は曲芸師ではありませんので、事前に少しでも依頼者の方のことや、事件内容がわかっていて準備できる方が法律相談におけるサービスの質が高くなる傾向にあるのは当然です。

 

 私も法テラスの一員でしたので、内部的には「多少なりとももう少し工夫を」などと提案しておりましたが、大きな組織ですので、やや糠に釘という感触がありました。

 

 ただ、民間の法律事務所を利用する場合の一般的な悩みとして、多くの方にとって「相談に行く弁護士が信用できる」かどうか分からない、ということはあるでしょう。

 

 そうしますと、やはり法テラスという名前が持つ安心感等に意義を見出すことは可能ですので、法テラス事務所においてご相談されることもそれなりに合理的な選択だと思います。 

 

 ・・・結局、どちらが優れているとは言い切れませんが、それぞれの方が置かれている状況に照らして、ご相談先を探す際に、もしよろしければ、上記の話をご参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

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