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「離婚原因」は「離婚の原因」ではありません

 離婚問題で弁護士に相談に行くと、弁護士から「離婚原因は何ですか」とか、「それは離婚原因にはならないかも知れません」といったことを言われることがあります。

 

 そこで、「あ、夫(妻)は金銭感覚が本当になってなくて」とか、「実家に行くたびに私だけが嫌がらせのように色々用事を頼まれて困っていても、夫(妻)は話も聞いてきれずにどんどんエスカレートするんです」、「月のうち2、3日は外泊して、どこへ出かけているのか言わなかったり、言っても嘘ばかりつくんです」などと答えると、「大変ですね。ただ、それだけだと離婚原因にはまだなりません」と弁護士に言われたりします。

 

 依頼者の方は、内心「いや、ほんとうにひどいんですよ。離婚したい理由としては十分でしょ?何で弁護士はわかってくれないんだろう?」などとお感じになる方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 離婚をしたいと思って弁護士にご相談にいらっしゃる方は、当然、離婚しようと思っている原因があって相談にきているので、「離婚原因はありませんね」などと言われると、訳がわからなくなってしまいます。

 

 このような認識のずれは、もしかすると、弁護士の説明不足によるものかもしれません。

 

 弁護士は「離婚原因」という言葉を何気に口にします。しかし、ここで弁護士がいう「離婚原因」は、法律用語の一種で、必ずしも日常会話で「離婚の原因は何?」などと話される意味とは少し意味が違います。

 

 弁護士のいう「原因」というのは、法律上の根拠のことです。

 

 ですので、「離婚原因」というのも、離婚が認められる法律上の根拠のことです。

 

 具体的には、民法770条「裁判上の離婚」が認められるための要件(離婚できる条件。同条1項の1号〜5号のどれかにあたる場合に離婚できます)のことをいいます。

 

 弁護士が「離婚原因は何ですか?」と言うときには、「上記1号、2号、3号、4号、5号のうちのどれにあたるんですか?」ということが知りたくて尋ねていることが一般的です。

 

 これとは別に、非専門家の方が日常の会話の中で「離婚の原因は何?」と聞くときには、普通は「何で離婚しようと思ったの?我慢できない理由は何?」という意味で聞いていると思います。

 

 ですので、お互いによく説明せずに同じ「離婚原因」という言葉を使っていても、実は、別の意味でそれそれ使っていますので、会話がかみ合わない、ということになります。

 

 当高幡門前法律事務所では、できるだけそのようの誤解のないようにご説明いたしますが、一般的に「離婚原因」という言葉を巡っては、かなりの頻度で上に書いたようなすれ違いが発生するようですので、法律相談をお考えの皆様におかれましては、前もって「弁護士が離婚原因と言ったら、どういう意味かよく聞いてみよう」と心の準備をしていただければ、ご相談がスムーズに進むかと思います。

 

 もしろしければ、ご参考になさってみてください。

 

 

 

 

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